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日本の太陽光発電の状況

これからの日本の太陽光発電システム

  • 低炭素社会への転換
  • 京都議定書に盛り込まれた温室効果ガス「1990年比6%削減」目標必達
  • 再生可能エネルギーが地球環境問題の解決に貢献
  • 日本は、世界を牽引する太陽光発電先進国
  • 住宅用太陽光発電システム助成制度の再開

地球温暖化対策

氷山

大西洋に流れ出した氷山

太陽光発電システムは、地球温暖化の原因と思われる温室効果ガスを排出しない。また、現在の火力、原子力発電と異なり太陽光のエネルギーは無尽蔵で、枯渇することがない。いわゆる再生可能エネルギーであり、低炭素社会の構築に向けた切り札になる可能性が高まっています。

地球温暖化の問題がなければ太陽光発電システムは、ここまで注目されなかったかもしれません。しかし、地球温暖化は確実に進行し、最近50年の気温上昇は10年あたり0.13度で、過去100年の約2倍となり、気温上昇のペースは急速に高まっています。

こういった地球温暖化対策のために世界が協力して作った京都議定書があります。日本には、この京都議定書で温室効果ガスを「1990年比6%削減」という目標が割り当てられています。これは条約に基づいた国際公約になるので、日本は2012年までに、温室効果ガスを1990年比6%削減を必達しなければ、外国からの信頼を失うでしょうし、国際社会での発言力も著しく低下するでしょう。
アメリカが京都議定書から離脱したのも、履行・達成できない約束はしないという冷静な判断に基づいています。こういったことから、太陽光発電システムは温室効果ガスを排出しないので、6%削減という目標達成のための1つの方法として必要なシステムということになります。

日本の太陽光発電

日本は、国産のエネルギー資源に乏しい国ですが、とても技術力の高い国です。太陽光発電もそうですが、早くから太陽電池を発電システムとして利用するための技術開発に取りかかっていましたし、住宅の屋根等に設置した太陽光発電システムを既存の電力系統(電力会社の電線)と接続し、発電した電力が自家消費を上回る場合には電力系統に送り出す逆潮流という利用形態(系統連系)を世界で初めて技術的に確立し、実現しています。

日本は、技術面でも導入面でも世界を牽引する太陽光発電先進国です。これは今でも変わりませんが、残念ながら、2004年までは日本が世界一であった太陽光発電システムの導入量が、2005年にドイツに抜かれてしまいました。

補助金制度の廃止

国内では、住宅向けの太陽光発電の補助金制度は94年に始まり、太陽光発電を購入する人に1kw当たり最大90万円を補助するもので、補助金制度を背景に、日本の太陽光発電の累積導入量は04年までは世界トップに立っていました。しかし、補助金制度が05年に終了すると、導入量は伸び悩み、太陽光発電システムの購入価格は現在、1戸当たり約230万円とされており、経済的な負担が大きい。業界団体の調べだと、07年度の太陽電池の国内出荷量は前年度比22%減と2割強も落ち込み、減少は2年連続となっています。

日本市場の減少

生産量推移

生産量推移

ドイツは、固定価格買い取り制度(フィード・イン・タリフ)という太陽光発電の電力を通常の電力料金の3倍で買い取る制度を04年にスタートし、これを機に太陽光発電の普及が加速。05年の累積導入量では日本を上回り、ドイツが世界トップとなっています。

また、生産量においては、07年の日本の太陽電池生産量は92万キロワットで、前年比11.3%減少。逆に欧州の生産量は43.9%も増え、106万キロワットに達しています。米国は27万キロワットで、中国、インド、台湾などでも生産量が急激に増えています。
企業別で生産量が1位になったのはドイツのQセルズというメーカーで、前年比約1.5倍の39万キロワット。シャープは16%減の36万キロワット。3位は前年から倍に伸ばした中国のサンテック・パワー。日本企業は10位以内に京セラ(4位)、三洋電機(7位)となっていましたが、ともに順位を下げています。

これは、太陽光発電からの電力を電力会社が優遇価格で買い取る制度を導入する動きがドイツやスペイン、ギリシャ、韓国などで広がり、市場が急拡大しているようです。逆に日本は太陽光発電の普及を引っ張ってきた住宅用太陽光発電への補助金が05年度に廃止から市場が縮小しています。日本企業も工場建設などで増産を計画しているが、多くが海外向けだということです。

地球温暖化に対する姿勢を海外と日本でみてみると、意識の違いの差が市場の減少などに結果として現れているように思います。日本が何もしていないという事ではなく、欧州の人々の本気度が違います。取り組み方が違います。必死であれば、より良い環境政策・制度にたどり着くでしょう。よい制度は見習って導入することもできるでしょう。今後の日本に期待したいですね。

太陽光発電システムの動向

住宅用太陽光発電システム価格

システム価格推移

システム価格推移

新エネルギー財団により07年度の太陽光発電システムの価格について調査が行われています。その結果によると、平均システム価格は69.6万円/kWであり、その内訳は、太陽電池が43.6万円/kW(価格に占める割合:62.6%)、付属機器が16.3万円/kW(23.4%)、設置工事が9.7万円/kW(14%)となっています。

新エネルギー財団pdf資料:平成19年度 住宅用太陽光発電システム価格及び発電電力量等について

なお、新築のシステム価格は57.1万円/kW、既築のシステム価格は74.1万円/kWであり、既築システム価格の方が新築システム価格より17万円/kW高い価格となっています。

住宅用太陽光発電システムの価格は、資源エネルギー庁による助成制度が開始された1994年には、標準的な3kW程度のシステムで約600万円という非常に高価なものでした。しかし、国内メーカーによるコストダウンや新技術の開発などにより現在は60~70万円/KWで導入できるようになっているようです。3KWで200万、4KWで260万くらいの導入費用が必要ということになりますね。

住宅用太陽光発電システム設置に対して支援する自治体

支援自治体推移

支援自治体推移

住宅用太陽光発電システム設置に対し支援を実施している自治体について新エネルギー財団が調査した結果になりますが、2008度の支援自治体数は314自治体と昨年度よりも11自治体増加しています。

都道府県別では、支援を実施している自治体がない県は5県(昨年度6県)、42都道府県(昨年度41都道府県)で1つ以上の自治体が支援を行っています。

新エネルギー財団pdf資料:2008年度住宅用太陽光発電システム設置に対して支援する自治体について
2004年度の373県をMAXに下降していましたが、2008年度から少し上昇傾向にあります。太陽光発電システムの導入価値と太陽光発電システムの認知が上がってきたということでしょうか。これから導入を検討されている方には、ありがたいことです。

新エネルギー財団pdf資料:都道府県別住宅用太陽光発電システム導入状況

これからの太陽光発電

2008年7月に洞爺湖サミットが開催されました。この洞爺湖サミットでは、地球温暖化問題への解決に向けた対応策が最も重要なテーマとなっており、開催国である日本は『2050年までに温室効果ガス排出量を半減する「Cool Earth 50」』を提唱しています。

福田首相が提唱した「福田ビジョン」でも、低炭素社会への転換のための主要な方策の一つとして『太陽光発電世界一の座を奪還するため、導入量を2020年までに現状の10倍、2030年には40倍に引き上げることを目標として掲げたい』との方針が示されています。

これに合わせるように経産省は、2008年6月24日の総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会で、補助金を導入するなどして、太陽光発電システムを設置する費用を3~5 年で半額程度に抑えることなどを盛り込んだ緊急提言案をまとめています。

こういった方針や洞爺湖サミットでの決定事項がどう影響してくるのか今後が気になるところですが、住宅用を中心とした太陽光発電システムの大量導入の実現、導入量世界一の座の奪還、新たな導入支援策など課題は多い。日本においては、2012年あたりに太陽光発電システムの大きな転換期がくるかもしれません。


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