太陽光発電は、1992年に日本初の個人住宅における逆潮流有りの設備が導入され、以降NEDO・NEF・国・地方公共団体等の助成や各電力会社の自主的な支援プログラム等により普及してきています。
累計導入量は2006年末時点で約1.7GW(1708MW)であり、太陽光発電導入状況(JPEA)国内出荷量の9割近くが住宅向けです。
個人宅向けが中心ですが、近年は集合住宅での導入例も見られています。
2005年に新エネルギー財団(NEF)による助成が終了して以降、国内市場は縮小しており、2008年に福田ビジョンによって導入量の大幅増加の目標が打ち出されましたが、経済産業省の出した緊急提言案によって逆に買い控えを招くなど、政策的な混乱が見られています。
最近(2008年)では、福田ビジョンによる低炭素化社会だとか、経済産業省の出した緊急提言(導入コストの半減)、テレビでは、シャープの太陽光発電CMなど、太陽光発電と地球環境という言葉をよく聞くようになりました。それだけ国も企業も太陽光発電に力を入れ、普及させようとしているのでしょう。
では実際に、地球環境に貢献でき、電気料金も節約できるという太陽光発電は、日本国内においてどれくらい普及しているのでしょうか。
太陽光発電の普及率を調べるために、国土交通省のホームページから日本の住宅総数を調べ、太陽光発電の導入件数はSOLAR_NEF太陽光発電から調べ、普及率を調べてみました。
2005年度の住宅総数:5,387万戸
2005年までの導入数: 28.9万件
2005年までの太陽光発電普及率は0.53%となります。200戸に1軒程度しか太陽光発電は設置されていない。ということになりますね。これは、日本全国での数値となりますので、都道府県別で算出すると2%を超える地域もあるようです。また、3年前のデータなので、現在(2008年)は1%程度に普及率は上がっていると推測されます。
買い物などに出かけた時に太陽電池を屋根に乗っけている家を見かけるのですが、こうして数値としてみるとけっこう普及率は低いですね。
太陽光発電の普及に向け、以下のような目標が掲げられています。達成するには厳しい目標だと思いますが、国策として、企業や関連機関が力を入れ始めている事を最近、特に感じますね。
太陽光発電導入容量の拡大
2010年: 482万KW
2030年: 8280万KW
2007年の実績が17.7万KW(住宅用)なので、大幅に導入量を増やさなければ目標は達成できません。導入コストの低減や普及のための思い切った支援策がないと目標達成は難しそうですね。
一方で、メガソーラー発電所として2008年8月にサンヨー滋賀工場(年産40MW)が稼動しました。さらに、2012年までにシャープと関西電力が大阪堺市の臨海部に世界最大級(2.8万kw)の太陽光発電施設の建設が予定されています。
経済性の改善・ 汎用電力並みの発電コスト
2010年: 23円/kWh
2020年: 14円/KWh
2030年: 7円/kWh以下
2008年時点で、太陽光発電による発電コストが46円程度なので、2年間で半額までコストを落とさなくてはなりません。
目標達成のためには、革新的な技術による開発や、企業努力によるコストダウン、電力会社の売電単価のアップなども必要かもしれません。
技術開発
電池技術:技術の世代交代(薄膜化など)によるモジュールの製造コストを低減。
システム技術: 蓄電装置付による自律度向上。
変換効率の向上、蓄電設備(キャパシタ)の開発は進んでいるようですが、蓄電設備の家庭での実用化は、まだ時間がかかりそうです。しかし、太陽光発電の技術は確実に進歩しています。3年もすれば太陽電池の変換効率アップ、蓄電設備の実用化も可能性があります。
従来から行ってきた国・行政の支援政策の基本は補助金付与という助成制度という形をとってきました。 これは、太陽光発電の普及においても同様で、太陽光発電設置者に導入費用の一部を補助し、設置者を増加させることにより、製造技術の進歩と製造コストの低減を誘導する方法でした。
しかし、住宅用太陽光発電の補助金制度は2005年度で終了したため、その後の増加は鈍っているのが現状です。
さまざまな問題を解決し太陽光発電を普及させるには、ドイツが行っている太陽光発電で発電した電力を約60円(日本の3倍)で買い取る、フィードインタリフという補助制度も有効だと思います。
現在、日本では太陽光発電を普及させるため、「企業努力による導入コストの低減」、「税制優遇措置の検討」「グリーン電力証明書」などにより太陽光発電の普及率アップに努めていようですが、現実は思った程普及していないようです。
参考までに、福田総理のスピーチです。「低炭素社会・日本」をめざして
今後の「日本の技術力」と「福田ビジョンの実現」に期待しています。