地球温暖化が進む中、その抑止対策として太陽光発電が注目されています。しかし、現実には導入コストが高いことなどもあり、思うように太陽光発電は普及していないという現状です。
しかし、2008年6月に福田首相により「福田ビジョン」が打ち出され、普及率向上のため、太陽光発電システム導入コストの半減や、補助金制度の復活、税制優遇措置などの支援策が検討されています。
現状では、こういった国としての支援策なしでは、なかなか普及率は上がらないようですね。
さて、太陽光発電をさらに普及させるためには2つの課題が考えられます。
日本では、ドイツのように、電力事業者に対して通常の電力価格より大幅に高い値段で再生可能エネルギーの買い取りを義務付ける「固定価格買い取り制度」(フィードインタリフ)を導入していません。
その結果として太陽光発電を普及させるためには、メーカーなの企業努力や量産体制の確立などによりシステム自体のコストを下げる必要があります。
そのためには需要を増やすことが必要であり、新エネ部会の緊急提言では、技術開発と需要創出で機器の高効率化と価格低減を図り、現在の1戸あたり約230万円という導入費用を、3~5年以内(2011年~2013年まで)に半額(約115万円)程度まで低減するという目標を掲げています。
実際問題、3~5年で太陽光発電システムの導入費用を半額まで下げるのは難しいように思いますが、達成のためには、補助金制度や大量生産によるコストダウン、電力会社の買取価格の引き上げなどが必要になると思われます。
◆国策としての支援
具体的な施策として、住宅用太陽光発電に対する国の支援措置を再開する。
補助金を打ち切った結果、導入量の伸び率が停滞したことを重く見た福田首相からの指示で再開が決まった。(早ければ2008年末から補助金制度が再開するようです。)
また、緊急提言では公的支援に加え、太陽電池メーカーと住宅メーカー間の連携を強化する必要性を訴えています。
つまり、住宅の設計段階から太陽光発電を組み込むことや、屋根や壁材と一体型の太陽電池パネルを普及させること、さらに各家庭での太陽光発電のCO2排出量削減効果を住宅メーカーなどが取りまとめ、グリーン電力証書化する事業も提言している。
グリーン電力証書とは、グリーンエネルギーで発電された電力について、CO2排出量削減という付加価値を証書化する取り組みで、少しずつ利用者が増加している。
さらに、電気事業者に新エネルギーなどの電気を一定割合以上利用することを義務付けた「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」では、2011年から、太陽光発電に特例措置が設けられる。
電力会社が再生可能エネルギーの割り当て量を満たす際に、太陽光発電による発電量は、他の発電方式の2倍として扱われることになる。
こういった施策を行うことで、太陽光発電システム設置者にメリットを見出すことができれば、おのずと普及率は上がっていくでしょう。
太陽光発電システムはコストが下がれば、10年程度で原価償却できる設備です。ドイツでは設置者にメリットが大きいことが一般的に知られています。しかし日本国内においては、太陽光発電は設置者にメリットがないと認知されています。大きな認識の差がありますね。
太陽光発電普及のもう一つの課題は、太陽電池の変換効率。つまり、単位面積当たりの発電量を増やす努力を重ねていくことです。
太陽電池は変換効率が高ければ高いほど、より小さい面積で大きな電力が得られるようになるので、設置面積が限られた一般住宅では、非常に重要になってくる。
変換効率を上げる方法は大きく分けて2つあります。
単一の素材で現時点で最も適した材料は、単結晶シリコンとGaAs(ガリウム・ヒ素)、CdTe(カドミウム・テルル)で、理論変換効率はいずれも25%を超えています。しかし、CdTeはCd(カドミウム)、GaAsはAs(ヒ素)という毒性のある元素を使うことなどが理由で、あまり使われていません。
したがって、現在はシリコンを使う太陽電池が全生産量の95%を占めています。
◆単結晶シリコン
シリコンを利用する場合は、変換効率だけを考えると単結晶シリコンが望ましのですが、単結晶シリコンは製造コストが高くなる傾向にあります。このため単結晶シリコンを採用した太陽電池は、2007年に全生産量の4割を下回るという結果になっています。
◆多結晶シリコン
現在の主流の多結晶シリコンは変換効率が単結晶シリコンよりも低くく、単結晶シリコンの理論変換効率25%に対し、最高変換効率が18.6%(三菱の150mm角セルの場合)と単結晶に比べ、7%も低くなっています。
また、多結晶シリコンの変換効率向上のペースは鈍ってきており、20%が1つの山だと言われています。
◆HIT(ハイブリッド)
三洋電機の太陽電池は、単結晶Siとも多結晶Siとも異なる独自のHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)構造で、単結晶シリコン基板とアモルファスシリコン層を積層させ、p層とn層の間に不純物を含まないi層を形成することで、実用サイズ(100cm2以上)の結晶シリコン系太陽電池セルの変換効率としては世界最高となる22.0%を研究レベルで達成。
現在では、三洋電機のHIT太陽電池の変換効率が業界トップであり、同じ発電容量でも少ない設置面積で済む。
例えばシャープで4KWの太陽電池を屋根に載せた場合、153wを27枚載せる必要があり設置面積は31㎡になる。これに対し、三洋で4KWの太陽電池を屋根に載せた場合、210wを20枚載せるだけで済み、設置面積は25㎡になる。
◆化合物系
昭和シェルとホンダはCIGS化合物太陽電池の量産開始しています。どちらのメーカーも太陽電池というイメージが薄いメーカーですが、太陽電池の開発、量産を行っています。
まだ、技術としては新しく変換効率も現時点では10~11%と、シリコン系と比べると劣っています。
しかし、「CIGSの理論値は25%超で薄膜シリコンを上回る。開発し尽くされたシリコン系に比べて、CIGSはまだまだ伸びる余地がある」(ホンダソルテックの鈴木取締役)
これからが期待される太陽電池です。
変換効率を上げる為に、各メーカーともに太陽電池素材、構造などが開発・研究されています。
現時点では、変換効率が低い太陽電池でも、数年後には大きく変換効率が向上する可能性を秘めています。
薄膜タイプが主流となりつつありますが、多接合、化合物系なども大きく期待される太陽電池と言えますね。
初めまして。クリーンエネルギーの需要は間違いなく関心度の高いものだと思います。
私は、雷防護の関係の仕事をしていて、エネルギーの話題には関心を持っていました。
Co2を出さない実用レベルの発電方法として、大きく原子力の力をつかうものと太陽の力を使うものに分けられるかと思います。私は、このサイトを通じて太陽光発電に興味を持ちました。
しかしながら、普及率を見る限り,事業進度としては、伸び悩んでると言った見方が強いと言えますね。化石化エネルギー枯渇の懸念、CO2排出による、地球環境の汚染、これらは、まさに早急に保存、保守をしなければならない目前にある課題です。
近年、こういった、課題に取り組む企業がどんどん増えてきましたね。
自動車もガソリンエンジンと電気モーターを双方搭載するハイブリッド化が進んでいます。
そういう背景などもあり、確実に、ニードは存在するのに、実質的な展開が遅れている現状はしかたがないのでしょうか?
確かに、実用レベルで一般住宅などに広く普及させるにはコスト的にはまだまだ高いとは思いますが。
変換効率の良い素材の開発や、変換エネルギー使用までのトータル的なシステムの確立、(メーカー間での汎用性がもてればなおさらいいかも。)
そして、太陽光発電そのものの認知度を広げるPRや企業努力(量産体制の確立でのコストダウン)など、もっと多くの人がわかるようなとっつきやすい事業にしなければならないのではないでしょうか?
いずれ、そう遠くない未来にはもしかしたら 「えっ?これが発電モジュール?あ、こんなところにもっ!」なんて驚くような日が来るかもしれませんね。
ますます、興味が湧いてきました。
また、そういう事業や仕事に携わってみたいなとも思います。
hiroさん、コメントありがとうございます。返事が遅くなり、申し訳ありません。
このサイトを通じて太陽光発電に興味をお持ち頂いた様で、うれしく思っています。
太陽光発電も年々、進歩し、IT業界と同じくらいのスピードで進歩しています。ただ、実用化にはもうすこしかかるようですが...。
2009年、2010年は太陽光発電の改革の年となりそうです。
「補助金制度の復活」、「固定価格買取制度の導入」と太陽光発電設置者にとってメリットが多くなりました。あとは、太陽光発電システムの普及率が上がれば、液晶テレビのように低価格で導入できるようになると思います。
今後の太陽光発電にとても期待しています。
コメントありがとうございました。
たいようこうはつでんのしりょうがほしかったのでやくにたちました。
とてもわかりやすくてよかったです
国語の学習で、リーフレットを作るときに使いました。とても役に立ちました!
ありがとうございます!