シャープは2008年10月までに、奈良県葛城市の工場の生産能力を、年間1万5000kWから10倍以上の年間16万kWに引き上げる。さらに2010年3月までに、大阪府堺市に生産能力が年間最大100万kWの巨大な新工場を建設し、圧倒的な量産効果で一気に低コスト化し、普及を狙う。
これは世界トップの生産規模を持つシャープの現在の太陽電池生産能力である年産71万kWを大きく上回る規模で、かなりの量産効果が期待できる。
「2010年に太陽電池の発電コストを現在の半分、1kWh当たり23円に下げるめどがたった」。片山社長は、年頭会見でこう表明した。その裏付けには、葛城工場での薄膜型太陽電池の生産規模の拡大がある。
仮に発電コスト23円が達成されれば、一般家庭への普及に弾みが付く。現在は、太陽光発電による電気代削減で、太陽電池の購入費用を取り戻そうとすれば、20年前後かかる。しかし、これが10年前後になれば、経済的メリットが大きくなる。
しかし、シャープの太陽電池戦略の本命はその次の段階にある。
2010年3月までの稼働を目指している大阪府堺市の新工場がその舞台だ。
堺工場は、世界で初めて液晶と太陽電池の両方をつくる工場で、ガラスに化学的手法でシリコンなどを蒸着する工程は、液晶も太陽電池も同じである。「工程で使うガスを送る設備など、薄膜型太陽電池と液晶で共有化できるものは多い」と、シャープの太田賢司・専務技術担当は語っている。
つまり、液晶と太陽電池、この2つは設備の多くを共有化でき、これによってさらにコストを下げられる可能性が高くなる。
したがって、堺工場が本格稼働すれば、太陽電池の発電コストは、1kWh当たり23円をさらに下回る可能性がある。仮に太陽電池が設置後4~5年で元が取れれば、太陽電池は必需品になる。
液晶テレビ市場を作ったシャープが次に仕掛けるのは、「1家に1台・太陽電池」時代かもしれない。
シャープに限らず、多くの太陽電池メーカーが競うように生産規模の拡大を予定しています。
これにより太陽光発電の導入コストは確実に下がります。製造コストが半減すれば当然ながら導入コストも下がります。現時点では2010年以降が太陽光発電システム設置の1つの目安となりそうですね。